投資系のブログを読んでいると、次のような内容をよく見かけます。
「自動販売機は割高なのでもったい無い。だから使わないべきだ」というものです。
これは本当でしょうか。私は、一概には言えないと思います。
夏の暑い日、ぶらぶらと外を気の向くままに散歩していてどうしても喉が渇いた時など、自分が強く必要とする時には、目の前で見つけた自動販売機は買うべきだと思っています。
私は、このように考えます。「もし自動販売機がまだ一台もない日本だとして。その日本で、自分が、あらゆる場所で、いつでも自動販売機から飲み物を手に入れるのに必要な価格はいくらだろう」と。
すなわち私が日本全国のあらゆる場所で、いつでも気が向いた時に、自動販売機から飲み物を手に入れようと思うなら、少なくとも今日本に設置されているのと同じ台数だけの自動販売機の設置・維持費用を自費で持つ必要があるということです。
今日本にある自動販売機が約200万台です。1台50万円として、50万円×200万=1兆円です。本体の初期投資だけで1兆円必要です。
さらに、電気代が月3000円として、年3万6000円。3.6万円×200万=720億円。これが毎年かかります。
あとは飲み物代。500mlのお茶を激安で50円で仕入れたとして。しかも、それを各自販機に1本だけ補充するとして。(これでは飲みたい種類も選べず、かつ各自販機から1本ずつしか買えないのですが、経費削減のためにやむを得ません…)50円×200万=1億円です。
他にも、清掃代や修理代、機械の更新代などさまざまな費用もかかってくるでしょう。
しかし、この大雑把な計算でも、次のことがわかりました。
すなわち「もし、自動販売機をまだ誰も設置していない世界であったとしたら、自分が散歩中に偶然出会った自動販売機から飲み物を買うために必要な環境を整備するために必要な金額は、1兆721億円」ということです。
つまり、あなたが町をぶらぶら歩いていて、偶然見つけた自動販売機から、買う1本の飲み物には、それくらいの価値を見出せるということです。このことから考えると、なんの初期投資ともリスクとも無縁に、町中で気が向いた時に好きな飲み物を、たった150円で買えるというのは、むしろ「安い」買い物であると言えそうです。
ですので、自分が必要と感じた時に、自動販売機から飲み物を買うことは「もったいない」ことでは全然ないのです。むしろその時は現在の日本の恵まれた自販機環境を享受する絶好の機会と思って、喜んで150円を入れれば良いでしょう。
(私は、基本的にはケチな人間です。自動販売機から飲み物を買うことに罪悪感を覚えがちです。なので時々散歩中に飲み物を買うときには、上のようなことを考えてから「よし、この買い物はむしろ安い買い物なんだ」と思って買うようにしています…。)